2022年12月10日に狭山市産業労働センターの異業種交流スペースにおいて、本学サービスイノベーションセンターは「中小企業の経営をSDGs(持続可能な開発目標)から考える」とのテーマで「西武文理大学サービスイノベーションセミナー」を開催しました。このセミナーには中小企業の経営者?SDGsの担当者や行政関係者など、多様な皆様から参加のお申込みをいただきました。
第1部では、政府が実施している「ジャパンSDGsアワード」で2018年にSDGsパートナーシップ賞を受賞した株式会社大川印刷の代表取締役社長である大川哲郎氏に「中小企業が活躍する新しい時代のSDGs-インナーマッスルを鍛えるSDGs経営-」とのテーマでの基調講演をいただきました。
内容としては、経営にSDGsを実装するために組織風土をどのように改革してきたか、社内の共感を得るためにどのようなことが必要かなどについて、豊富な取り組み事例を基にして、多岐にわたるご講演をいただきました。
第2部では、大川社長と狭山市ビジネスサポートセンター?センター長の小林美穂氏をパネラー、本学サービス経営学部教授の藤野洋をコーディネーターとして、「経営高度化のヒントとしてのSDGs」とのテーマでディスカッションを行いました。ディスカッションでは、基調講演の深堀りに加えて、SDGsの経営への効果と課題、社外の仲間づくりの意義などについてパネラーに議論していただくともに、聴衆の皆様との間でも活発な質疑応答が行われ、その後に登壇者全員でセミナー全体を総括しました。
総括では、中小企業が自社の生存?経営の持続可能性を高めるために必要な「インナーマッスル」を鍛えるための視点として、次のようなことが提示されました。
①これからの中小企業は社会から必要とされる存在であることが今まで以上に求められる。したがって、SDGsへの取り組みは「余裕があるから行う」というものではなく、むしろ、「余裕がないからこそ取り組む」というスタンスに立つ。
②自社の存在意義に対する正しい危機感をもって明るい未来が描かれた「思い」をSDGsに向けた取り組みに込める。その「思い」を経営者が従業員に繰り返し呼びかけ共感の輪を広げ、ボトムアップの内発的な取り組みを社内に定着させる。
③さらに、社外にも自社の「思い」に共感する仲間の輪を広げて、パートナーシップを構築することで取り組みによる社会へのインパクトを高めるように工夫する。社外の仲間づくりでは、「ギブ?アンド?テイク」ではなく極論すると「ギブ?アンド?ギブ」のような心構えが必要な場合もある。
最後に、一人ひとり、一社一社がこのセミナーからヒントを得て、それぞれのSDGsに向けた取り組みをレベルアップしてほしいと登壇者から呼びかけ、セミナーを終了しました。
終了後、参加された方から「感動した」などのお言葉もあり、今回のセミナーを通じて「経営高度化のヒントとしてのSDGs」に関して理解を深めていただくとともに、本学が地域の中小企業の活性化という社会への貢献に力を入れていることを示すことができました。